5SENSES MAGAZINE | 本物の作り手による食への飽くなき探究を追う

5SensesMagazine

- 本物の作り手による食への飽くなき探究を追う -

「三浦メソッド」を次の世代にも受け継ぐー日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」

2021.10.28

「三浦メソッド」を次の世代にも受け継ぐー日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」

2021.10.28

はじめに

「日本の伝統産業をアップデートしていく」という熱い想いを内に秘めている日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」(以下、CHABAKKA)代表の三浦氏。
前回、日本のものづくりに想いを寄せたきっかけや、CHABAKKAでの取り組みについて話を伺った。今回はそこからさらに三浦氏ご自身にフォーカスを当て、新たなプロダクトの展開や、若者に伝えていきたい「三浦メソッド」など話を深掘りしていく。

趣味から繋がる、新たなプロダクト展開

小笠原:前回CHABAKKAでの取り組みについて伺う中で「サーバーから注ぐ日本茶」などの新しいアイディアは趣味からヒントを得たとお聞きしました。日本茶以外の新たな取り組みや、これから考えているプロダクトの展開についてもお聞かせください。

三浦氏:一つは現在のCHABAKKAでの取り組みとも繋がっている、日本茶のロウリュウとバブルバスです。粉末の日本茶を使用して、香りを楽しんでいただけるように工夫しています。
もう一つは今治タオルで有名なイケウチオーガニックさんとコラボしたサウナタオルの製作です。イケウチオーガニックさんとは、趣味のサウナから自然と繋がりが生まれたんですよ。100%オーガニックコットンでタオルを製造されているのですが、元々の魅力であるふんわりしたパイル地と、手ぬぐいのような生地をコンビネーションさせて作っていただきました。本来入れることのできない刺繍も、CHABAKKAのために入れてもらいました。

小笠原:なるほど。最近は「茶道」と「サウナ」をかけた、「サ道」という言葉も出てきていますよね。日本茶を軸に、趣味のサウナと絡めた様々な商品展開をされているのですね。

「三浦メソッド」若者の成長に携わりたい

小笠原:プロダクトの展開以外にも、CHABAKKAの店舗スペースの貸し出しを行っていますよね。これには何か意図があるのでしょうか。

三浦氏:元々人を育てたり人の成長に関わることが好きだったこともあり、自分がTOKYO BASEを経て起業した経験を、夢をもっている若い人にどんどん伝えていきたいと考えていました。実際にCHABAKKAを始めて3年半ほど経ちますが、「何かをやりたいけれども、なかなか時間も場所もお金もない」という若者が多いと感じていました。
そこで、「自分でブランドを立ち上げたい」など、将来何かやりたいと思っている人にチャレンジしてほしいという思いで、お店のスペースを提供しています。

小笠原:三浦さんは株式会社バンタンの講師もしていらっしゃいますね。これも「三浦メソッド」を伝えていきたいという想いからでしょうか。

三浦氏:そうですね。若い人たちが挑戦しにくいという現状は、教育に問題があると思っています。専門学校は専門性に特化したことが学べるとはいえ、座学の勉強をしたり、学校の中で実習をしたりとインプットの時間がほとんどなんですよ。インプットしたことをアウトプットしたり、外で発揮するという機会を設けないと、せっかく時間をかけてインプットした意味がないと思っています。だからこそ、私は学校で自分のメソッドを伝えたいと考えました。

小笠原:なるほど。確かにアウトプットして初めて本当の意味で「インプット」されていきますね。実際にバンタンへは、どのように働きかけたのでしょうか。

三浦氏:自分で直接連絡をしました。バンタンのことは以前から認知していたのですが、最近特にカフェや飲食店の経営、独立の支援に力を入れていることを知り、アクションを起こすべきだと思いました。「学生がアウトプットをする場所としてお店を使ったり、生の経営者が実際に学校に行って話をしたほうが、リアルが伝わると思います」と売り込みましたね。話し合いをした結果、まず試しに卒業制作模擬出店でCHABAKKAのスペースを使用してもらうことが決まったんですよ。学生の皆さんが自分たちで考えたメニューを販売してもらい、売上や宣伝のことなど、全て体験してもらいました。

小笠原:学生さんにとっては貴重な経験ですね。私も実際にPOP‐UP出店の経験をして自分のブランドを売り込むことの難しさを感じました。思っているようにうまくいかない。実際に経験したからこそ様々な気づきを得ることが出来ましたね。

三浦氏:そうですよね。実際に生での販売体験とか、色々学べますよね。自分たちがいいと思ったけど売上が出ないとか、販売するのが大変だとか、自分たちで宣伝や広告しなきゃいけないなど、実際にやってみないと得られないような経験や気づきをしてもらいたかったのです。ありがたいことにそういった私の想いが伝わったのか、その後も引き続き講師としてお付き合いしさせていただいております。今後も若い人たちが挑戦できるその為の力になっていきたいと思っています。

おわりに

今回の取材で「日本の伝統文化や産業を様々な形で世間に浸透をさせていく」という熱い想いをひしひしと感じることができた。
その想いは、実際にCHABAKKA店舗のアニメティやグッズに、マグは波佐見焼・グラスは江戸切子など日本各地の名産を取り扱う小さなこだわりにも現れていた。
三浦氏が受け伝えていきたい日本の伝統文化や産業。それを既存の枠にとらわれずに新しい形として世間に伝えることができるのは、三浦メソッドを受け継ぐ、私たちのような若くて挑戦のしやすい若者かもしれない。

株式会社Third Bay

日本茶セレクトショップCHABAKKA TEA PARKS事業の運営を主に、経営・営業コンサルタントやシェアリング事業の企画・運営を行う。
【世界を変え、人を変え、未来が過去を変え、そして新たな産業を生み出す】を理念に、
斜陽産業と化している日本の産業や伝統工芸に焦点を置き、既成概念にとらわれずに全く新しい付加価値を見出した商品とサービスを国内外に発信する。

三浦 健(みうら けん)

アパレル企業の株式会社TOKYO BASE(旧STUDIOUS)入社。
立ち上げメンバーとして創業から東証一部上場までの中心メンバーとして携わり、事業部エリアマネージャーとしては店舗運営・商品企画・人材育成・新店舗の立ち上げなど幅広い分野で従事。
2017年、起業を機に約12年に渡り携わってきたファッション業界を卒業し、2018年、自身が代表を務める株式会社Third Bayを設立。

インタビュアー:小笠原由多

大学時代に体育会活動に励みながら自身でアパレルブランドを立ち上げを経験。多くのD2Cブランドの立ち上げ経験を元に、インフルエンサーD2C事業責任者として商品企画からビジネス設計、商品販売まで全ての業務を担当。